平成30年4月1日
臨床研究へのご協力のお願い
ソラテック人工血管内シャントの長期開存成績とそれに関わる因子の検討
現在,名古屋血管外科クリニックにおいて、過去にシャント治療が行われた患者さまを対象に臨床研究を行っています。これまでの治療の経過で診察させていただいた所見、検査させていただいた画像検査(造影検査、超音波検査)、治療内容などの臨床情報を用いて研究を行いますので、新たに患者さまへの負担は生じません。また費用の負担も生じません。過去にシャントの治療を受け、現在通院されていない患者さまには、直接説明させていただくことができませんので、ホームページまたは院内掲示にて告知させていただく次第です。この説明文書を読まれた上で、参加の中止を申し出ることができます。もし参加を中止してもこれからの治療に差し支えることは全くありません。研究の内容についてできるだけ多く知って頂くことが必要ですので、以下に説明させていただきます。
作成日平成30年4月1日
【シャントの種類と異常とその治療方法について】
血液透析(以下透析)とは腎臓の機能が低下し体内の状態を一定に保つことができない場合に行われます。透析とは血液を透析機に送ることにより血液から毒素や過剰な水分を除去する治療です。そのために血液を抜く針(脱血用)と血液を戻す針(返血用)の2本を穿刺する必要があります。十分な血液を抜くために通常上肢などに外科的にシャント(ブラッドアクセスや内シャントとも呼びます)を作成します。シャントには自分の血管のみで作成する「自己血管内シャント」と人工血管を使用する「人工血管内シャント」の2種類があります。これらのシャントが十分に機能しないと透析が出来なくなりますので非常に重要です。しかし透析のたびにシャント血管は針で刺され、大量の血液がシャント血管の中を循環しますので、徐々にシャント血管が細くなり(狭窄)、やがて詰まってしまうことがあります(閉塞)。また穿刺した部位に感染が起こることもあります(シャント感染)。こういった状態を「シャント不全」といいます。
これらシャント不全に対し、私達のクリニックでは経皮的血管形成術(以下PTA治療)や手術等にて治療を行っています。PTA治療はバルーンカテーテルとういう医療用のバルーン(硬い風船状の道具)を用いて狭窄部を血管内部から膨らませて治療することができます。PTA治療は手術に比べて体の負担が少ないため、近年多く行われています。PTA治療が困難な時や、効果が弱いときは手術によりシャントを作り直す必要が出てきます。
【今回の臨床研究の目的】
本研究の目的は、当院で作成した人工血管内シャントがPTAや手術などにより、どのように治療されてどれくらいの期間、使用できたかを検討することです。
【研究の方法】
(1)対象
2002年から2016年の間に、当グループ(旧かわな病院シャントセンターもしくは名古屋血管外科クリニック)で上肢の人工血管内シャントを作成された患者さまを対象とします。
(2)方法と研究期間
この研究では今までの診療記録(カルテ)、手術記録を利用させていただきます。具体的には患者さまを匿名化(患者さまのお名前や住所など特定できる個人情報を削除すること)した後、診察所見、検査所見、治療内容をデータベース化しまとめます。このデータベースをもとに当グループで作られた人工血管内シャントの開存した期間や治療内容を検討します。
この研究は平成30年度内に検討し、学会や医学雑誌等に発表する予定です。
(3)対象者が行うこと
対象者が行うことはとくにありません。
【個人情報の保護と倫理的配慮について】
今回の研究はヘルシンキ宣言や「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の理念にもとづき行います。またこの研究で得られる結果は、あなたの個人情報(名前や住所、電話番号など)に関わる情報を切り離してからデータベース化されます。最終的に得られた結果は学会や医学雑誌などに発表されますが、あなたの個人情報が公表されることは一切ありません。
【研究の不参加の自由と同意撤回の自由について】
今回の研究内容を患者さま全員にご説明することは困難ですので、院内掲示でお知らせさせていただき、もしもこの研究に参加したくない場合はお知らせ頂くこととさせていただきました。もし、参加をお断りになってもこれからの治療に差し支えることは一切ありません。
【お問い合わせ先】
この研究の責任者は櫻井 恒久(医師)です。もしこの文書や研究への不参加を希望される場合や、研究に対する疑問などがありましたら、当院スタッフ、担当医師、もしくは下記連絡先へご連絡下さい。
名古屋血管外科クリニック
医師名:櫻井 恒久
電話番号:052-744-1233